台風19号被害「あの日、ステーションフォレストタワーで 何が起こっていたか」No.1
2020/4/8
ある居住者が語る被災から今まで
台風19号、アジア名:ハギビス。2019年10月6日3時にマリアナ諸島の
東海上で発生した台風は12日に日本に上陸し、
関東地方や甲信地方、東北地方を中心に記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらした。
10月12日(土)
夕方、ベランダのサンダルを玄関に回収し、物干し竿を収納した際に、ららテラス武蔵小杉前の道が冠水していることに気づいた。
程なくして、館内放送で、地下に浸水の危険があるため、地下に設置されたトランクルームから必要に応じて荷物を引き上げるよう連絡があった。22時を過ぎた頃、1階エントランスの浸水を防ぐボランティアを募集する館内放送があった。1階に降りるとロビーにあふれる人。一瞬でこれほどまで人が集まるのは、普段からコミュニティ形成がなされた成果だと感じつつも、やるべき作業を確認し周りの居住者と共有し作業開始。
1階エントランス、裏口、自転車置場の入り口、業者用出入り口の4箇所に土嚢を積む。用意していた土嚢のストックが足りず、備蓄水の入ったダンボールをビニール袋で包んだ簡易土嚢を作成。ブロックのように積み、隙間をバスタオルで詰める作業を実施。エントランス外は20〜30cm程度の浸水だったが、エントランス内への浸水を防ぐことができた。
23時過ぎに管理会社より地下3階の浸水がひどいという連絡が入り、1階に必要な人員を残し地下3階に移動することに。階段を降りると、その状況に唖然とした。
地下3階はすでに1〜2cmの水が浸水していた。水の発生源は湧水をためておく地下4階にあたる地下ピット(湧水層)。
通常地下ピットの水はポンプで排出されるが、雨水の侵入スピードがそれを上回り、ピットが溢れた状態だった。しかし、この時点ではそんな状況はわかるはずもなく、溢れてきた水を空きがある別の地下ピットに流す作業を住民で行った。
午前 0 時を過ぎても水の勢いは弱まることなく、地下3階も場所によっては膝の高さまで浸水していた。電気設備もあることから漏電の危険を鑑みて作業を一旦やめ、各自部屋に戻った。この時はまだエレベーターも通常通り使えていた。
午前0時半。インターネット/CATVが不通になる。
午前1時半。数回の瞬断の後、停電。マンションがこの後2週間、闇に包まれるとは夢にも思わなかった。
(No.2に続く:近日公開予定)
※本稿はNPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント機関紙「こすぎの風11号」(2020年4月1日発行)に寄稿したものです。